【ブランドインタビュー】menoo
糸島から生まれたフレグランス・ジュエリーブランド『menoo』
感情にそっと寄り添うものづくりの裏側とは

福岡県西部に位置する糸島の土地に根ざしながら、「目には見えないもの」にかたちを与え続けるフレグランス・ジュエリーブランド「menoo(メノー)」
香り、記憶、感情、言葉になる前の繊細な感覚にそっと触れ、それらを商品として落とし込み、お客様の日常に寄り添っています。
華やかさとは少し違う、確かにそこに“在る”感覚を大事にしたい。その静かな美しさを表現している商品は、どのようにして生まれているのだろうか。今回は、そのものづくりの背景にある思想や感覚について、ブランドディレクターである津上様にお話を伺いました。
―糸島でブランドを立ち上げられ店舗も運営されていらっしゃいますが、ブランドを立ち上げたきっかけをお伺いしたいです。
【津上様(以下敬称略)】糸島という土地で暮らす上で、日常のなかに美しいものを静かに置いておきたいという気持ちが積み重なっていきました。“華やかすぎず、でも確かに存在感がある“そういうものを私たちの手で作りたいと思ったことが始まりです。
―糸島での暮らしから糸島そのものが温かみのある世界観につながっているのだなと感じました。ブランド名の由来は何でしょうか?
【津上】「menoo」という名前は、ギリシャ語「μένω(menō)」から着想を得ています。「留まる、宿る、共にあり続ける」を意味するこの言葉は、”目には見えないけれど確かにそこに在り続ける”という感覚を持っています。香りが空間に静かに宿り、記憶や感情に長く寄り添うように。
menooが届けたいものと、この言葉の持つ質感がぴったり重なると感じ、ブランド名として選びました。
―ブランド名の響きにもその静かで穏やかな余韻が感じられます。そんなmenooの商品に一番込めている想いはどのようなものでしょうか?
【津上】ブランドコンセプトである "The Invisible Essentials."、「人生で最も美しいものは、目には映らない」という言葉がすべてを表しています。
香りも、感情も、記憶も、目には見えない。でもそれこそが、その人の空間や日常を決定づけるものだと私たちは信じています。
―人の記憶や感情に寄り添う存在である、目には見えないけれど確かに感じられるものへのまなざしが、ブランド全体の世界観にも表れているように思います。さまざまなプロダクトがある世の中ですが、なぜ「香り」と「ジュエリー」を選ばれたのでしょうか?
【津上】香りは、言葉にならない記憶や感情に直接触れることができます。ジュエリーは、その日の気分や感情と向き合いながら選ぶもの。目には見えない自分の内側を映し出す鏡のような存在であり、「目に見えない何か」を大切にしようとしている点で、私たちの感覚ととても近いところにありました。
そしてどちらも「目に見えない感覚を纏う」という共通点があり、香りは空気に溶けて見えない。ジュエリーはその日の感情や気分と向き合いながら選ぶもの——今日はどの指に、どのリングをつけようかと考える時間そのものが、自分の内側と対話する瞬間です。どちらも「見えないけれど確かにある感覚」を大切にしているという点で、自然とこの二つが軸になりました。

― 一見異なる分野でありながら、根底に流れる価値観が共鳴していることがよく伝わってきました。当店では「香り」のアイテムをお取り扱いさせていただいておりますが、商品を制作するうえで一番こだわっている点は何でしょうか?
【津上】香りの「余韻」と「変化」です。つけた瞬間のトップノートだけでなく、時間とともにミドル・ラストへと移ろっていく流れに、一篇の物語のような奥行きを持たせることを大切にしています。
―その日の気分や感情に寄り添う存在として、人の内面や時間の流れに寄り添うものとして大切にされているのだと感じました。そんな貴社の商品を使うことで、どんな気持ちになっていただきたいでしょうか?
【津上】「ここにいていい」という感覚になってほしいです。香りを纏った瞬間に自分の時間に戻ってこられるような——そういう静かな安心感を得ていただけたら嬉しいです。
―とても素敵ですね。安心感が自分自身に立ち返るための拠り所になっているのだと思いました。そんな津上さんにとって、自分自身の商品がどのような存在になっていますか?
【津上】私たちの内側にあるものを外に出す手段、だと思っています。言葉や説明より先に、香りや形で「こういう感覚が存在する」と伝えられる。menooは私たちにとって、そういう表現の場所です。
―言葉にならない感情や感覚を貴社商品の香りと形に託されているのですね。貴社商品は「天然精油100%」で作られているものが多いですが、成分をこだわられたきっかけなどはありますか?
【津上】menooには、合成香料を一切使わないMENOOライン(Hinoki / Night Jasmine)があります。天然精油には、合成では出せない「揺らぎ」があります。完全に均一ではないからこそ、使うたびに少し違う顔を見せてくれる。その不完全さこそが、私たちが大切にしている「生きている感覚」と重なると感じたことが、このラインを作った理由です。

―ありがとうございます。どの商品も香りにあたたかみを感じ、まさに香りが生きているように思います。香りを制作するうえで、糸島の風景や日常からのインスピレーションは受けていらっしゃるのでしょうか?
【津上】糸島の海沿いの風、朝の光の質感、森を通り過ぎるときの空気——そういった日常のなかの「名前のつかない瞬間」が、香りを作るときのベースにあります。特定の景色を再現しようとするのではなく、そのときに感じた感覚の質感を香りに翻訳するイメージで制作しています。
―あたたかくやさしい気持ちになる理由が見えた気がします。翻訳というワードもでてきましたが、物語を読んでいるような感覚になってきました。
【津上】弊社の商品は「ストーリー性のある香り」をイメージしております。
一つの香りの中に、時間の流れがあるということです。トップノートで出会い、ミドルで深まり、ラストノートで静かに余韻を残す——それぞれが断片ではなく、一つの物語の章として続いていく。そういう設計を私たちは「ストーリー性」と呼んでいます。menooの香りは、世界各地の天然精油とイギリス産香料を組み合わせることで、この奥行きを表現しています。
―まさに物語の世界観に引き込まれる感覚ですね。トップノート〜ラストノートで重視されているポイントはありますか?
【津上】私たちが最も大切にしているのは「変化の自然さ」です。トップの軽やかさからラストの余韻まで、途中で香りが途切れたり唐突に変わったりしないよう、流れるような設計を意識しています。また、季節を問わず使えるよう、暑い時期にも重くなりすぎない抜け感も重視しています。
―使い始めから終わりまでもを表現されている香りですが、1つの香りが完成するまでにかかる期間はどのくらいなのでしょうか?
【津上】コンセプトの言語化から最終調整まで、おおよそ数ヶ月をかけています。香りは言葉より正直なので、「これだ」と感じるまで何度も試作を重ねます。
―香りづくりへの深い想いも感じることができますます魅力を感じましたが、5・10年後はブランドをどうしていきたいでしょうか?
【津上】糸島という場所に根ざしながら、国内外の方にmenooの香りを届けていきたいです。ローカルであること、この土地ならではの感性や風景が宿った香りとして、世界のどこかの棚にそっと置いてもらえるようなブランドにしていきたいと思っています。

―糸島という土地に根ざしながら、その風景や感性を香りに宿し、それを国内外へと届けていくという姿勢に強く共感いたしました。精油を使用された優しい商品も多くありますが、とくにおすすめの商品を教えてください。
【津上】MENOOライン(Hinoki / Night Jasmine) をおすすめします。天然精油100%・合成香料不使用 で仕立てた、menooの中でも最もピュアな香りのラインです。Hinokiは日本の森の静けさと爽やかさ、Night Jasmineは夜に咲く花の官能的な甘さを表現しています。リードディフューザーとパルファン、どちらでもお試しいただけます。
―ありがとうございます。当店スタッフもとても好きなやさしく包んでくれる香りです。最後にお客様へ一言お願いいたします。
【津上】menooの香りやアクセサリーが、あなたの「自分に戻る時間」のそばにあれば、これ以上嬉しいことはありません。糸島から、心を込めてお届けしています。どうぞ、ゆっくりと楽しんでいただけますと幸いです。
当店スタッフのお気に入り、おすすめ商品を聞いてみました。
【小林】MENOOラインの Hinokiのディフューザーです。自然の香りがとても癒されます。menooさんの商品は天然成分のみを使用しているものもありながら、香りもとても強く感じることができるので、広い空間でもおすすめです。
【小松】精油フレグランス メノーパルファンのWood and Inkです。天然由来素材のウッディーな香りがリラックスでき、より心地よい気分にさせてくれます。持ち運びのしやすいスティックタイプもお気に入りです。